投票率低下は続く・・・・

 統一地方戦が終わった。衆議院参議院1の補欠選挙が行われ和歌山で維新の会公認候補が当選したのを手始めとして維新の会が大きく躍進した選挙となった。また俳優の大泉洋の兄が函館市長選で現職に挑み大差で勝利を得た選挙でもあった。函館の投票率は、58%と全国でも高い投票率となった。というのも、全国の市長選の平均投票率は47.7%で過去最低となった前回の47.5%を上回ったものの、市議選は前回を1.3%下回り44.5%の投票率、町村長選は同じく前回比4.2%減の60.8%、町村議選はどう4.2%減の55.5%と過去最低を更新。

 市議選の獲得議席数を国政政党ごとにみると、自民党は前回比12増えて710、公明党は前回から10下回り891,立憲は増やして269、維新は108増やして154となった。一方、共産党は55減らして560、国民民主は30減らして65、社民党は23減らして30であった。今回はじめて選挙に出た参政党は67議席を獲得した。

 それにしても、どぶ板選挙となる地方選挙でも、衆議院参議院選挙の国政選挙と同様に投票率低下を招いているのは、政治家が意図的に国民を政治意識から遠ざけているような印象をもってしまう。わずか1週間の選挙活動では、覚えてもらうためであろうが、候補者の名前の連呼が耳に残る。多くの有権者にとっては、政治家の履歴や掲げている公約を吟味する時間もあまりなく、そして代わり映えしない日常の中で、自らの参政権行使にさほどの意義を見出すこともない。聞きなれた候補者に投票するか、知人に勧められた候補者の名前を書くだけに終わるのである。

 選挙が終われば、4年の間あまり政治の恩恵を受けることもなく、それどころか最近では税金や社会保険料の値上げに苦しめられているのが実情である。地方政治家も自分たちに直接困りごとを持ち込んでくる有権者にはできるだけ目に見える努力をしようとするが、しょせん一人ひとりの希望を十分に実現できるところまではいかない。それは国政レベルではなおさらであろう。

 大阪を中心に維新の会が勢力を広げているが、現在のような小選挙区制では、野党が分裂して戦う構図では。自民党の一強体制が崩れないであろう。とすれば維新の会の勢力拡大は結局自民党政権を補完する形でしか、完結しないのではなかろうか。残念ながら1990年代に二大政党制を夢見てなされた選挙改革は、有権者の政治離れを加速させただけである。選挙制度を改正することは難しいが、民主主義の形骸化を防ぐという意味で、投票率を引き上げる算段に本気で取り組まなければ、日本の民主主義は崩壊せざるを得ない。政治家は自らの力を振り絞って、民主主義の継続のために力を注ぐ必要が今こそ求められているのではなかろうか。