防衛費増額か子育て優先か・・・・、それこそ選挙で問うべきことではないのか

 防衛費の増額が、既定路線のようになっている。正式には2027年度までは増税なく防衛費を増やしていけると政府はのたまわっているが、増税うんぬんよりも、防衛費の増額ははたして国民の望むところなのであろうか。ロシアのウクライナ侵攻、はやくも一年を迎えようとしているが、それにからまして北朝鮮の度重なるミサイル発射や、中国の軍備増強の報道をこれみよがしに利用することによって、軍備増強が正当化されているような状況だが、果たして国民が本当に望んでいる事だろうか。

 

 今朝の朝刊では岸田首相は子育て予算の倍増を実現するために、社会保険からの支出や地方財源をあてにするような報道もでていた。防衛予算の増額と子育て予算の増額、その財源をどうするのか。1200兆円というGDPの2,4倍近い財政赤字を抱える一方で、政府に対する支持をつなぎとめるための政策を次々に打ち出すのはかまわないが、限られた財布の中身を考えることもなく、国民の関心を引き留めるため思い付きを次々に打ち出すのは中央政府としての姿勢としてはいかがなものであろうか。

 

 考えてみれば、統一教会との結びつきからテロの犠牲になった安倍元首相も、肝心の政策選択という部分では、国民に政策の優先順位を問うような行動は起こさなかった。政権政党である自民党は長年政権を担っているが、政権政党として政策を行う際に選挙を利用して国民に政策実施の成否を聞くことはしてこなかったように思う。政党として、選挙前には国民受けするようなマニフェストを出していたものの、実際の政策遂行においては、本来国民の意見を聞くべき必要性がある政策の優先順位を問うようなことはまるでなかったように思われる。今回の防衛予算の増額についても、うがった見方をすれば、ロシアのウクライナ侵攻を利用して、日本国民の防衛に関する不安意識が芽生えたような印象を与えるが、唐突に表面化したように思われる。これもアメリカとの密約による戦闘機や対空防衛システムの購入費などとの見方が強い。

 

 その一方で低迷する内閣支持率を上向かせるために、子育て世代の支持を狙って打ち出された政策であるが、残念ながら予算は限られている。だからこそ政治による優先順位を決定することが求められるのである。限られた金額をどのように配分するのか、それを決定していくことが政治の本来の役割である。政策決定による責任を負うことで、政治は国民の信頼を担っていくのではないか。選挙はそのために行われるはずである。今年は幸いにして4月に全国各地で地方選挙が行われる。中央政党の存在価値を問うという意味においても、地方選挙で財政の在り方を問うても良いのではないだろうか。政治の本来の役割を考え直すという意味においても、財政の配分をどうするのか審議する土台を作り上げて論議を重ねても良いのではないだろうか。地方選挙を使って、中央政界の存在価値を議論しようではないか?