それでも岸田首相を支持しますか

 円安が進み、とうとう24年ぶりに1ドル=135円台となった。アメリカは昨年比8%以上の消費者物価指数の高止まりで、2か月続けて0.5%以上の金利引き上げが規定事実となっている。これで最大日米間の金利差は1.5%になる可能性もある。これではドル買い円売りは仕方がない。しかもEU金利引きあげにシフトする予定なのでこちらも1ユーロ=140円を超えている。これでは円の独歩安になるのも仕方がない。それでも輸出産業は利益が上がっているという理由で、日本政府は金融緩和からの経済政策転換を行おうとしない。

 

 世界的には小麦をはじめとする食料品全般の需給ひっ迫状況があり、しかもエネルギー資源の高止まり(原油は1バーレル=120ドルを超えている)の影響で、ほぼあらゆる商品やサービスが値上げ圧力に瀕している。そして巷では諸物価高騰の嵐が続いている。にもかかわらずコストを価格転嫁できない中小企業は倒産の危機に瀕している。また大企業の賃上げに、中小小企業のほとんどは追随できていないので、庶民の購買力は落ち続けている。年金受給者の給付される年金もわずかではあるが減額された。物価が上がっているのに、なんともわびしい懐具合が続くのである。

 

 そんな庶民の台所事情からすると岸田首相の内閣支持率上昇は何とも不可思議な現象である。正直な話、結果的に金融緩和政策を継続して円安を放置している以上、今回進みつつあるスタグフレーションの元凶は日本政府である。あとで見込み違いでしたという言い訳を聞いても仕方がないのである。家計が悲鳴を上げている今、何らかの対策を講じてもらいたい。

 

 防衛費GDP2%越えもあるという。日本国内の多くの家計が壊滅的な状況に陥りつつあるときに、防衛費だけは聖域であるがごとく湯水のように使うことなどありえない。日本経済の再建のためにベーシックインカムを導入するというなら理解もできるが、防衛費の突出に向けて赤字国債を乱発することは断固やめてもらいたい。